tsubaki_style2006-10-29

手縫いが楽しいです。始めたころは、こんなストイックな修行みたいなこと・・という思いのほうが強かったのですが、慣れてくると、この作業が好きです。革によってはさくさく縫えたり、やたら時間がかかって指が痛くなってつらかったり、毎回手ごたえが違って、それが面白いのです。一針一針縫いながら、いろいろなことを考えます。心は静かに穏やかになります。ミシンでいけるところも近頃は手縫いで仕上げてしまいます。このほうが革の声が聞こえていいのです。最近アナログな行いを改めて素敵に思います。私の作るメガネケースは、ほとんどがスナップ留めでなく、革紐で結ぶようにつくっています。スナップでないのには訳があるのです。仕事が終わってメガネをケースにしまう時・・・ほっとした気持ちで、ゆったりと紐を結んで、自分の目を助けてくれたメガネにお休みを上げる。紐を結ぶ行為はスナップをパチンと留めるのとそんなに手間は変わらないはずです。紐を結ぶわずかな間に、ふっと素敵な間(ま)を持って欲しいのです。出かける時に、靴紐を結んで、「さあ、今日もがんばるぞ。」って心に刻む。これは、ボタンやマジックテープじゃだめなんです。
自分の作るバッグやベルトを見ていると、そんなこだわりが段々強くなってきたような気がします。みなさん、急がないで、ちょっと不便だけれど、紐を結んでみませんか?