刺繍作家長野訓子さんの展覧会に行ってきました。もともと銅版画出身の彼女の刺繍は、やはり、絵が面白い。機械刺繍の制約が織り成す線は銅版画の線よりは不自由だろうけれど、ただ、可愛い、綺麗というだけではないアーティスティックな彼女の刺繍はたくさんの可能性を秘めていて興味深いです。
そんな彼女のオーダーであるお財布。

これも展示していただいています。彼女のオーダーに際してのご希望は、グリーンを基調にして、「植物、花、たおやかな強さ」のイメージ。私の強い希望で、彼女に刺繍をつくってもらいました。私は不定形のものをイメージしていたのですが、彼女から送られてきたのは、丸に近い形でした。バランス的にアレンジしにくいなと思いました。一点だけつけると、取って付けたように見えるのです。そこで考えたのは、彼女が一番好きだといわれた一枚をトップにアレンジし、かぶせの下からチラッと見えるのに、明るい色のものを重ね見せして使う。さらに、機械刺繍が薄っぺらい感じに見えないように、革にひだを寄せて、植物の葉のような表情をつくる。シックな色合いのかぶせをあけると、華やかな色が目に入り、そして、財布の縁のステッチにも一針交代で明るい色を入れ、裏は明るい黄緑色のスエード。。


外のシックなイメージから、華やかな明るいイメージに変わっていきます。