tsubaki_style2016-10-14

ボコボコした加工の革は、羽織りものにするには分厚くて硬いので、薄くしたかったのですが、激しいボコボコの表面のものは革漉き機にかけることができません。なので、手で漉きました。毎日少しずつ、革包丁でゾリゾリです。
柔らかくなった皮とファーをつけるのは金具。気をつけて穴を開けて入って、カシメを打っていきます。
時間がかかる手仕事の意味は果たして何でしょうか?ミシンでガガーッと縫っても、チクチク時間をかけて手縫いをしても、仕上がったものを手にとってその差に気がつく人、あるいはその差を気にする人はどれほどいるのかな。あるいは、ミシンの方が綺麗だって思う人も多いし、手仕事といえばなんか無骨な感じ、手の痕跡が残ったものを連想する人もいる。まあ、今は誰でも作家、誰でもクリエイターの時代ですので、手仕事という言葉がそれほどの価値を持っているとは思えません。量産対手仕事という観点でもその価値はどれくらいあるんでしょう?量産だって、手仕事風に暖かさを残して仕上げているものさえ出てきていますから。私自身は、手仕事であることをさほどアピールするつもりはないのです。あるとしたら、手縫いはミシン縫いより丈夫という点でだけです。三十分で縫えるものを何時間もかけて縫ったところで、そこを価値にはできません。味のある仕事というのもなんか違うのです。必要なのは、味ではなく、センスです。手によって生まれる勢いとリズム。勢いとリズムのある作品であること、それが私にとってすごく重要。