tsubaki_style2006-10-31

イタリアの手染めの革を使いました。深い深い色合いが時代を感じさせているように、そう、この革はもう何十年も前のものです。黒い革やレースと良く合うと、こんなデザインで仕上げました。手染め・・・・芸大で染織専攻だった私には、その苦労が良くわかります。型つくりから、染めまで、地道な細かい作業と緊張の連続。若いころは華奢だった私は、着物の染めの実習で、蒸しを待っている時、うまく染まっているだろうか、泣いていないだろうか(染料がにじむことを泣くといいます)極度の緊張で、その帰りに駅で失神、倒れてしまいました。今も、染めではありませんが、高価な革を素材にしているので、しかも、たいていは一点しかないような珍しい革を探してきて使っているので、カットする時、仕立てる時、緊張します。ちょっと気が緩むと、カットの線がずれたり、貼りあわせに失敗したり、ミシン目がゆがんだり、縫い目の穴あけの位置がずれたり・・・・一人の静かなアトリエで、悲鳴を上げることが時々あります。ほとんど仕上げに近い段階になってのそんな失敗はもう落ち込みます。でも、その失敗を何とかごまかそうとした時にまた新しいアイデアが浮かぶのです。傷を隠すために悩んだ末につけたベルトやアクセサリーがかっこよかったり、これぞ、怪我の功名です。