tsubaki_style2009-07-11

今日は数時間の間でしたが、京都へ。
パートナーの次の仕事で少しお世話になる佐々木能衣装さんへ来ています。
佐々木能衣装さんは、老舗の能衣装やさんですが、5年前くらいから、歌舞伎役者玉三郎さんの目に留まり、歌舞伎の衣装も制作されています。佐々木さんの衣装はすべて手織りで、機械織りはなし。織り職人さんが、一日かかって一尺くらいしか織れないという気の遠くなるような織物を、古い町屋のお二階で仕立て職人さんが仕立て上げられています。
お嬢様が私の女子校時代の同窓生です。芸大時代に染織科の授業で見学に来させていただいて以来、何十年ぶりの訪問。織り機は飴色につやが出て丸みを帯びています。西陣の染織関係の会社はどんどん減って、今は、織り機やさんもなくなり、メインテナンスも不可能になりそうだとのこと。職人さんの高齢化も深刻な問題のようです。こんなすごい伝統産業が何の保護もされていないのが不思議です。世界中があこがれる京都なのに。
見せていただいた玉三郎さんの衣装はすばらしかった。歌舞伎、能・・・無性に見てみたくなりました。今日はいい物を見せていただいて、心が洗われました。81歳になられるお母様が、「たいてい夜中に面白いアイデアが浮かぶんどっせ。そしたら、あれこれ考えて眠れんようになって・・・」てお言葉。若いなあ。生き生きしておられました。西陣の町で育ち、西陣の町で嫁ぎ、60年以上も手仕事に携わられ、きらきら輝いておられます。能舞台の幕を夜なべして一人で縫い上げられた話、映画「乱」の衣装をワダ・エミさんと一緒に作られた思い出話など、お聞きしました。旦那さんが外で忙しかったさかいに、おかげでたくさん仕事がはかどりましたわ・・・前向きで明るく素敵な先輩のお話でした。