グッチは、ネットや、こういうイベントで、アルチザンの技をあえてオープンにして行くそうです。こういう作業過程を公開するのは自信があるからこそですね。
昨日は一日三回のイベントの三回目5時からの部に駆けつけました。始まる前から一番前でかぶりついて見る事が出来ました

カッコいいアルチザンが4名、颯爽と入ってこられて、うわあ、かっこいいグッチ特製のレザーのエプロンをかけて、作業を始められました。

なんと、手際よい!そして、工具の使いやすそうなのに釘付け。小さなナイフはすごい切れ味。ゴムのりケースから取り出した筆はけっこうささくれ立っているのに、財布の端に、みごとにスーッとのりが伸びて・・・ああ、なんて手際よい。だって、みなさん、いらっしゃっているのは、グッチのアルチザンの中のトップの重要人物4人だそうです。親の代からグッチの職人だという方もおられました。今回のイベントのために現地の工場では重要人物がいなくて、おこまりだとか。しょっちゅう電話がかかって来るそうです。太っ腹!そこまでして、こんなデモンストレーションをされるグッチの姿勢がカッコいい。
ミシンをかけられていたのは、女性。彼女もお父さんがグッチのバッグ工場をされていたそうで、16歳からミシンを踏んでおられるそうです。彼女が今回の新作のデザインのステッチを、ミシンでやってやろうじゃないか!と、手法を考案されたそうで、そのテクニックは息を呑むものでした。コンピューター制御じゃない、足踏みミシンを、手と足で自在に操り、寸分の狂いもなくステッチを施されていきます。そして、縫い初めと縫い終わりが同じ針穴におさまりました!すごい。
使われている工具はどれも、そう珍しいものはなく、目打ちやへらをそれはそれは繊細に操って、仕上げていかれます。たぶん、私が使っている工具の何倍、何十倍ものお値段のものだろうし、使い勝手は上々だろうけれど、とにかく、手わざのすごさ。。。。。。

ビックリしたのは、その場で仕上がったバッグを、磨き上げもせず、もちろん隅々の点検もせず、ポンとそばの陳列棚に置かれて、それがその場で売れていく様を見たとこです。ほんと、自信があるのです。すごい〜かっこいい!
たった一つ、これはやだな・・・って思ったのは、その場で買われ方には、アルチザンが刻印を打ってくださるサービスがあるのですが、とにかく、良く売れている。こんな不景気というのに、次々と、何十万円もするバッグが売れていく。いかにもセレブぽい女性。手渡されるたびに拍手が沸きあがるのです。ちょっと、ホストクラブで、ドンペリが入ったような・・・そんな雰囲気でした。買われた方が、一生懸命アルチザンの手仕事を見つめられて・・・という光景は見かけませんでした。ほんとうは、そうして欲しかったな。ブランド物のよさ、特にグッチやフェラガモなどは、なぜこの価格なのか、本当に納得がいくものなのです。人の手わざのすばらしさを買わせていただく。もちろん、革はとっても上質。糸も何もかもすべて、こだわりのもの。その感動の対価・・・高くないと思いました。
糸の色はさすがイタリア・・・・・美しい。