tsubaki_style2016-07-18

三島に出す名刺入れが右のものです。左の方は昔つくったものです。きりん柄の型押し革で作って、しっぽをつけています。もう十年以上前に神戸のイベントに出したもののサンプルです。
名刺入れはこんなシンプルなものなら8000円から10000円という価格設定です。勿論手縫いです。素材を選んでデザインしてつくった一点ものです。名刺入れはそれでもバッグや財布などに比べたら、手間が少なくて、いわゆる割が合う仕事ですがそうそう売れるものではないです。笑。バッグや財布になると作るのに一週間くらいはかかりますが、値段設定にその時間をどの程度入れられるか悩ましいところです。今日仕事で関西に来ていて一泊していた長男(広告代理店勤務)に雑誌の一ページに載せる広告の価格について聞いてみたら、人をどれだけ使うか、どれだけの時間を使うかで当然何十万という価格が成立するという。確かに。先日我が家の植木選定に来ていただいた職人さんの日当は二万円。雑誌のモデルならたとえ撮影が数時間でも1日拘束したことになるから10万円以上のギャラが派生する。ほー。ものつくりって、それに比べたら、技術料も日当も価格にちゃんとは入れられないよねえ。そのまま入れてしまえば買っていただける価格にはならないものねえ。日本に住む人が普通に作っている人件費や経費を加算したら、今百貨店やネットで売られているものの価格は成立しない。つまり、人件費の圧倒的なコストダウンが今のものの価格の標準を作ってしまっているのです。勿論材料の大量仕入れ、機械化などもコストダウンの要因になっていますが、一番は人件費ですね。
そんなことを考えると、正直やってられないなあと思うこの世界です。私はこれで食べていかなければならないこともないからこれでいいのですが、本当はそんなことではいけないのです。正当な人件費が加算でき・ものつくりがそれで食べていけてこそ、豊かな国であるはず。まあ、それは夢のまた夢です。