tsubaki_style2006-10-18

今日焼いたパンは、キャラウェイシード入りの全粒粉ブレッドです。キャラウェイ入りのパンは父の好物で、小さいころから食べなれていた味です。父は大正生まれなのですが、海軍時代の食生活のせいもあり、洋食が好きです。リビーのコーンビーフ、エダムチーズやブルーチーズ、タンシチュー、オイルサーディン・・・・今でこそ珍しくない食べ物ですが、これらを小さいころから普通に食べていた私は珍しい存在かもしれません。パイプをいつもくわえて、静かに本を読んでいる父は、かっこよくはないのですが、昔はとても(いわゆる)ハイカラな人でした。夫婦でタンゴを踊り、アコーディオンを弾き、カクテルを作ったり、私たち子供には、ボンベでつくる炭酸水で炭酸飲料を作ってくれました。ボン!という音で一瞬で泡だらけの炭酸水が目の前で出来るマジックショーにはワクワクドキドキしました。写真が趣味で、まだ白黒の八ミリフィルムでホームビデオならぬ、家族記録映画もとり続けていました。父が暇な時には、私たち子供がおねだりして、幻灯会をしてもらいました。白いスクリーンを壁に下げて、家族の記録映画や、イソップ物語の幻灯・・・・語りは父です。何回見てもおもしろかった。「幻灯しよ!」って言うと、「え〜?またやるんかいなあ。」といいながらも、まんざらでもないらしく、嬉しそうに映写機やフィルムを押入れから出して準備してくれます。電気を消した真っ暗な部屋に、一本の白い光がスクリーンに向かって伸びています。その光に、キラキラと小さなほこりが舞っています。古くなったフィルムは時々切れて、そんな時はまた部屋の明かりをつけて、父がフィルムをくっつけたのか何か、私は小さかったので、見ていませんでしたが、しばらく休憩タイムです。お菓子を食べたりして、再開を待ちました。楽しかった。なんだか、父の思い出話が近頃多くなって、まだまだ元気な父に失礼ですが、父の好物をこうやって作ったりしては父のことをやはり想ってしまいます。