tsubaki_style2007-07-01

今日は一日アトリエで制作。分厚い革でつくるしっかりしたバッグなので、全部手縫いです。1メートル以上のストラップも全部手縫い。果てしない手縫い。一日縫っています。もう傷は気にしないです。触ると痛いですが、大丈夫。でも、両手が筋肉痛です。肩がはっています。最近どんどんたくましくなっている上半身は、この手縫いのせいじゃないでしょうか・・。父のことが気がかりで、考えることは、父や母のこと、そして、黙々と縫っています。毎日姉と長時間の電話で色々な今後の話をしたり、互いに病院にいったり、母から電話があった方からの情報交換です。いろいろこれからのことを考えると、ますます時間は宝物です。眠る時間が惜しいほど、やらねばならないこと、やりたいことがある。自分自身のものつくりとしての生き方について、迷って迷って彷徨っていた40代。あの十年が今無性に惜しいけれど、小学校の図工教師として、無我夢中で頑張っていたことは決して無駄にはなっていないし・・・・。ということは、人生って、あまりに短すぎるってことなのか。私、生まれ変わったら、今度は、若い頃からこの道かな。父が先日ボソッと言いました。「今度生まれたら、医者になるかって考えたら、そうやないなあ・・・。」「何になりたかった?」「そうやなあ、教える立場やな。」「江戸文学?」「そうやなあ。」そう、父は親に反対されてなれなかったその道がやっぱりいいみたいです。病室に毎日父の顔を見に来る24歳の若先生。彼は、父の大学の後輩であり、孫つまり我が息子と同じ年でもあります。彼が父の脳の検査に立ち会って、その脳に驚いたという・・・その先生です。その彼に毎日、文学のこと、京都の歴史のこと・・・・講釈しているようです。笑顔が素敵なとても穏やかで人なつっこい青年で、毎日父から色々な話が聞けるのを楽しみにして病室を訪れてくれているようですが、父にとっては何よりの嬉しい励ましになっているのでしょう。そして、父はその日鴨川の氾濫の話の後、彼に言いました。「もっと早くあんたに出会ってたらなあ・・・・・。」彼が部屋を出てから、父は「今度生まれたら・・・」の話をしたのです。人間はそれぞれ、一生懸命生きて悔いがなかったにしても、そんな思いは持っているのかもしれません。