tsubaki_style2008-03-31

朝食を済ませて、歩いてドゥオモまで行きました。ドゥオモは正式にはBasillica di Santa Maria del Fiore・・・花の聖母教会といいます。たくさんの人が並んでいると覚悟をして行くと、たいした人数ではなく、ラッキー!しばらくして私たちの後に日本人らしき親子が来られました。今回の旅では、ユーロ高のせいでしょうか、お買い物目当ての騒がしい女の子たちや卒業旅行のグループなどには全く出会わず、美術館などを熱心に回る日本人に会うことがたまにある程度でした。みな物静かで、いい感じの方ばかり。「日本の方ですね?」と後ろから声をかけられ、話を始めました。ご家族で旅をされているのですが、おばあさまにはハードなドゥオモの階段、お嬢様が何が何でも上りたいとのことで、お父様が入り口まで付き添ってこられたそうです。一人で大丈夫とは思うけれど、もし何かあれば助けてやってください・・・とのお父様のお願い、喜んでお引き受けしました。話せば中学三年生のお嬢様は、美大志望とのこと。これも何かの縁です。長い長い石の階段を上れば、、丸天井に描かれたヴァザーリフレスコ画最後の審判」がどんどん近くなってきます。手を伸ばせば触れることができるくらいまで近くに来ると、荒削りで大胆な描き方、一人一人の人間や骸骨の姿が大きいのにびっくりします。そして、悪魔や地獄に落ちた人々の描かれている部分を見ていると、ヘビメタのTシャツをふっと思い出してこれまた新鮮でした。ドゥオモを出ると、お嬢様のご家族が迎えに来られました。これからヴェニスに移動されるとのこと。ご夫妻は揃ってクリエイティブディレクターだそうです。素敵なご家族でした。私たちはまたすぐに向かいにあるジョットの鐘楼に登りました。高さ84.7メートルだって?ぐるぐる螺旋階段はもう慣れっこ。顔は引きつり笑い、足も笑ってます。ついに私のおなかの贅肉は完全に姿を消し、初日パリでぴったりだったスカートは腰骨まで下がっています。そうかあ、おなかの贅肉って、毎日15分のステッパーくらいじゃあ取れないんやあ。一日10時間歩いたらいいんや。塔にも登ってね。でも、ふくらはぎはムキムキになってしまったし。日本に帰ったら、また車生活。一日十時間なんてこれからの人生歩くことないだろうなあ。パートナーのたっての希望で、たまたま昨日見つけた中国現代美術展を見る。私はつまらない。疲れた体につまらないデジタルアートは苛立ちを覚えさせる。まあ、これも勉強です。今なぜ、中国なのか。ローマやフィレンツェの町のあちこちに中国人ツアー観光客がいます。かつては日本人がそうだった様に、お買い物をして、観光をして。私たちは何回か、みやげ物売りに「ニイハオ!」と声をかけられました。そうかあ、今は日本人より、中国人観光客のほうがポピュラーなんや。そんな中国経済の急速な発展もオリンピックを境に、さて持続していくかどうかは怪しいものですが。今、日本が世界の中で急速に勢いを失っていることだけは確かなようです。午後は念願のフェラガモ本店へ。私はブランドの靴やバッグには特に関心がありません。でも、世界に名だたるブランドには必ずなぜそこまで大きくなったかの理由があります。良いものをつくってきたからです。今売っているものがいいかどうかは別としても。そこには必ず哲学があります。フェラガモは一介の靴職人から、解剖学まで勉強し、女性の足を触っただけで体調がわかるまで、靴に関してあらゆる勉強を重ね、見えない靴といわれるまでの靴をつくりあげました。そして、私は一度本で見たフェラガモのバッグに一目ぼれしてどうしても見たかったのです。フェラガモ本店はアルノ河沿いの排気ガスでむせ返る通りに面してありました。神戸の居留地のブランドショップ街を見慣れている私には、ヨーロッパのブランドショップの目立たないというか、さりげないというか、全くといっていいほど目立たないたたずまいには何回も驚かされています。ディスプレイに関しても、日本の路面店の方がずっと完成度が高いです。かっこよかったのは、パリで見たプジョーソニアリキエルのディスプレーくらいでした。さて、フェラガモ、商品は特になんと言うこともなく、お目当ての博物館に行きます。ヘップバーンの靴や、フェラガモの書いたデザイン画を見るが、あのバッグが見当たらない。スタッフに聞くと、なぜか一階の店舗に案内してくれた。そこにはなんと犬を三匹連れた男性客がいます。おおらかだなあ・・・犬、いいんやあ。そのお客さんが帰って、お店のスタッフにそのバッグについて聞くと、これこれ・・・と、そばの棚からバッグを取って見せてくれました。ありました。お花がいっぱいついた黄色のかわいいバッグ。10年足らず前の限定商品で、これは30個のうちの20番目のものです・・・とのこと。ああ、かわいい!お値段は日本円で24万円くらいです。想像していたお値段よりはるかに低い。ここに同じデザインで素材違いがあるのよ・・・と次々戸棚の奥から出して見せてくださいます。木、鰐皮、メタル・・。どれも素敵ですが、やはり私はお花いっぱいが大好き。白い手袋をするでもなく、「どうぞ、マダム、持ってみて!」なんて、他のものは持ってみましたが、大好きなお花のものは怖くて持てませんでした。最後にお店のテーブルにきれいなカタログがあったので、見せてもらい、これは買えますか?と聞くと、どうぞどうぞ、フリーです。持って帰って!・・・・なんて、親切!二種類のきれいなカタログをいただいて私は幸せな気持ちでムキムキ!とまたまた元気が出ました。がんばるぞ。クリエイター魂、奮い立たされました。その後、サンタクローチェ教会に行き、そこでたまたま革工芸の学校を出た日本人斉藤さんに出会います。その話は今日の話が長くなったので、また後日。