tsubaki_style2008-04-01

いよいよフィレンツェ最終日そして、旅の最終日が来ました。明日からは二日かけての帰国の日々。今日一日目いっぱい楽しみましょう。ところが、昨日、昼下がりの街をうきうきウインドウショッピングをしながら歩いていた時に、パートナーの父が緊急入院したとの電話が入り、気持ちは落ち着かず、心ここにあらず。今ここで何を案じても仕方ない、気持ちを切り替えろと彼はいいますが、私はそうはできません。不安で寝付けない夜、知り合いからたわいない内容のメールが入ったりして、うつうつしかけたところを起こされ、結局悶々として朝を迎えました。ウフイッツイ美術館へ行きました。イタリア最大の美術館・・・たしかに!というのは入れ物の大きさは意外とそれほどでもなかったのですが、想像をはるかに超える収蔵品の数でした。ジオットなどの1200年代の絵画から、ゴヤなどが出てくる1700,1800年代近代絵画まで部屋から部屋へ次々と、膨大な量の絵画や彫刻、工芸品が隙間なく並んでいる。美術館の中を歩いていくと音を立てて流れる西洋美術史の大河を漂ったような疲れと充足感を感じました。いやはや、高い天井の壁の隅から隅まで何段重ねにもなってけばけばしい金の額縁に入った肖像画が並ぶ部屋。ある種の空間恐怖症?隙間を許さないその装飾の数々には息苦しさを覚えました。そんな中で心が洗われたのはイコンの部屋、、ボッティチェリの部屋、とラファエロの部屋でした。ボッティチェリの「ヴィーナス誕生」・・今まで気がつかなかったけれど、海辺と思っていた浜に蒲の穂が生えている。もしかして、湖なんだろうか?「春」春の女神プリマヴェーラのまとう薄衣に花模様の絵の具が盛り上がっている。その顔がイタリアのどこかで見かけた人に似ている、なんて綺麗・・・いつまで見ていても見飽きない。美術館を出て、昨日見つけた市場サンロレンツオ中央市場を目指すが、なかなか見つからない。迷って迷ってもうあきらめたころにたどり着き、チーズ、オリーブを量り売りで買い、ポルチーニ茸も一緒に買う。さあ、お昼は地元の人がいっぱい並んでワイングラス片手にわいわい話をしながら、サンドイッチをぱくついたり、煮込み料理を食べているいかにも美味しそうな市場のスタンドに並ぶ。目の前で大きなお肉の塊をスライスし、硬くて大きなパンを半分にカットして、トマト、お肉、そして好みで辛い唐辛子ソースをかけて挟む。荒々しい作り方だけれど、これが最高地フィレンツェの味!パラティーナ美術館、アカデミア美術館・・・・今日はとことん美術館。〆はアカデミア美術館。またまたすごい行列。夕方なのにです。足は痛いし、睡眠不足だし、疲労困憊。重い体を美術館の壁にゆだねて何とか耐える。まったく進まない行列に後ろにいた日本人カップルは痺れを切らせたのか、リタイア。もうだめかと思い始めたころ、突然案内されて、団体の高校生より先に通される。ああ、待った甲斐があった。ダビデ像を間近に見る。大きい!昔いつか京都に来ていたのはレプリカ。本物を見る。頭の先の大理石が少し崩れかけている。1873年にヴォッキオ宮殿のまえからこのアカデミア美術館に運び込まれたそうですが、もしそのままだったら、今頃酸性雨ダビデ像はボロボロになっていたでしょう。ダビデの手は、若い青年にしてはごつごつしていて、パートナーの手によく似ていました。全身のバランスからすると手はかなり大きかったです。今夜はヨーロッパ最後の夕食、今まで一回も失敗してこなかっただけに力が入ってどこの店にするか悩んでしまいます。さりとて、疲れてへろへろ。私自身はもう何も食べなくてもいい気分ですが、パートナーはしっかり寝て全然余力あるし。さあ、最後もう一がんばりするか。名物は赤ワインで煮込んだパスタ・・・なんてちょっと危険な香りがするレストランへ行く。まあ、少しやばかったです。今までのレストランとはちょっと違いました。若い子が多い街角だったせいか、店員は小汚いTシャツ姿のお兄さんたち。びっくり!お客さんに注文を聞くときに、隣のテーブル!に腰掛けてるし!!食べたかったミラノ風カツレツも、うわさの赤ワイン煮込みのパスタも結構美味しかったけれど、落ち着かない店を早々に出て、シニョリーア広場に面したカフェでデザートを食べました。夜の広場にメリーゴーラウンドが幻想的。木馬にまたがる女の子たちのの金色の髪が夜の闇の中でとっても綺麗。広場のあちこちでいろんな人が楽しそうにおしゃべりをしながら歩いたり、座り込んだり。そういえば、こちらでは酔っ払いを見かけることはありませんでした。にぎやかだけれど、治安が悪いと聞いていたけれど、日本の街を歩くよりもストレスがなかった気がします。たぶん修学旅行中でしょうか、美術館で見かけたような高校生のグループがみやげ物売りから買った光る竹とんぼを飛ばせて無邪気に騒いでいます。テラスで生暖かい春の夜風を浴びながら、これから日本に戻って始まる親の介護のことやパートナーの大きな展覧会のことを思う。パリ、バルセロナビルバオ、ローマ、アッシジ、そして、フィレンツェ、楽しかったね、とうとう終わったね・・・・涙の混じったプリンのカラメルソースはほろ苦かったです。