tsubaki_style2013-06-02

革の加工には無数のバリエイションがあります。革としては、ヌメ加工、つまり、色を染めないで、革をなめしたままで使用できる状態にしたものが一番強いと思います。色を染めたり、型を押したりすると、人間がお化粧をすると肌が荒れるように、革本来の強度も基本的に弱くなります。でも、ヌメの状態で生前の傷がど真ん中にあったり、どうしても生き物ですから、仕方ないのですが、バッグなどの大きな面に使うと美しくないものになってくるものもあります。それをごまかす効果があるのが型押しです。ワニなどのうろこを立体的に型押しすると、そういうムラが消えます。革でありながら、金属のようなテクスチュアも出せます。でもやはり革ですから、ずっと金属のような表面が安定して保てるとは限りません。箔が剥げ落ちて、地の色が段々でてくる場合もあります。「育つ革」という表現がありますが、それは、こういう加工をしたものには求められないです。でも、育たないのですが、経年の変化が面白いものもあるのです。そればかりは使ってみないとわかりません。私は自分の持ち物の革ものは自作です。商品として出したものと同じ革を使ってつくったものは、経年変化が良くわかって、参考になります。思っていたよりも丈夫でどんどん艶が出てくるものもありますし、想像以上に早くクタクタになってしまって、型が崩れてくるものもあります。使いたい革と使える革が一致すれば最高です。そんな革を求めてまた久しぶりに東京へ行きます。